市民憩う岡崎別院へ
庭園の美再生
木村さん(中央)や僧侶たちの手で明るい雰囲気に再生しつつある岡崎別院の庭(京都市左京区)

浄土真宗の宗祖親鸞が草庵(そうあん)を結んだ地に立つ真宗大谷派岡崎別院(京都市左京区)が、地域に開かれた寺を目指して境内整備を進めている。荒れていた庭園を近くの寺の住職や門徒たちの手で改修し、訪れた人が散策を楽しめる空間に再生しようとしている。

岡崎別院は比叡山を下りた親鸞が越後へ流されるまで暮らした地と伝わり、親鸞が姿を映したとされる「鏡池」もある。江戸中期以降に本堂などが建てられた。

普段は輪番と職員の2人だけで、長年手入れが行き届かなかった。庭園は木が茂って日光がほとんど差し込まず、北側にある幼稚園のグラウンド内に枝が伸びていた。会社役員や大学教授らの葬儀の利用が多かったが、年々減り、ひっそりとした日々が続いていた。

2008年秋に北海道の旭川別院から移り輪番に就いた福田大さん(51)が地域の住職に協力を求め、昨春から庭園の再生活動が始まった。市内にある寺の門徒の木村忠男さん(71)=上京区=がほぼ毎日作業に通い、住職たちも手伝って朽ちていた橋を朱色に塗り直し、石材を再利用して散策路を整えた。大木の枝や竹やぶは伐採し、明るい庭になった。

「寺は葬儀だけの場ではない」と結婚式の利用も呼び掛け、記念に梅を植樹してもらっている。すでに7本の若木が育っている。

今後は駐車場を拡張し、庭園でのイベント開催も計画している。福田さんは「近隣の人たちと和して過ごせる憩いの場にしたい」と話している。